Bicycle アッセンブル
by ZEN
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油圧ディスクブレーキ・ブリーディング
HAYES・STROKER(ストローカー)
091128
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油圧ディスクブレーキのマスターシリンダー(レバー)〜ホース〜キャリパーを結ぶオイルラインにフルード(液:通称オイル)を満たす作業は、メーカーや機種ごとに微妙に異なります。 中の気泡をいかに追い出して行なうかがテーマとなります。 今回のモデル、HAYES(ヘイズ)・ストローカー(STROKER)は歴代HAYES油圧ディスクブレーキの中でも、最もブリーディングに手こずるモデルです。 マスターシリンダー(=ブレーキレバー)が縦型(ラジアルピストン)のレバーは、MAGURAや現行XTR・XTなども同じですが、これらはリザーバータンクが上を向いています。ところが今回のSTROKERのリザーバータンクは横向きです。 特殊な内部構造なので、エアが溜まりやすい箇所があり、従来の角度ではエアがうまく抜けません。 ブリーディングにちょっとしたコツがいります。 キャリパーにもエアが残りやすいので、こちらのエア抜きもきちんとしましょう。 気泡が残ると、ブレーキング時に圧縮されてスポンジーな引きとなってしまいます。 |
下準備 ブリーディングキットを用意しておきます。ヘイズのブリーディングキットにはフルード(DOT4)・注入ボトル・注入ホース・ブリードフィッティングが同梱されています。 これらを加工しておく必要があります。 ・ホースを1:2にカットして2本作る。 ・注入ボトル(写真の小ボトル)の先端をカットして(切り過ぎ注意)、短いホースを結合させる。 ・キャッチボトル(排油ボトル)を用意(写真の大ボトル。ペットボトルでも何でも)。長い方のホースを差込み、先端にはブリードフィッティングを装着する。キャップなどに圧を逃がす空気穴を小さくあける。ハンドルバーに引っ掛けられるようにスポークなどを加工してフックを作る。 ブリードフィッティングは排油ホースとレバーを結ぶパーツ。ストローカー用はこの黒いプラスチック製。 同社のHFX-MAGレバー用の半透明円錐形の物は互換性がありません。(統一しろてば) 蛇足ですが、ブリードフィッティングに何か流用できないか調べたら、グランコンペ・ブレーキレバー・ケーブルアジャスターがぴったりでした(てか、こんなものの方がもう無いな〜)。中空ボルトでホースを固定できるものです。 |
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HAYESブレーキは最下点のキャリパーから最上点のマスターシリンダー(レバー)に向けてフルードを流します。 1) 自転車の作業体勢ですが、ヘイズは機種別に自転車やレバーのロゴを水平とか45度傾けるとかツボがあります。今回のストローカーは自転車を前下がり45度に調整スタンドにセットしハンドルは目いっぱい切っておきます。 さらに、ストローカーは気泡抜きに複雑にレバーを傾け動かすので、ハンドル角度を変えたりとかなり手間がかかります。 でもZENのブリーディング治具はそんな時、威力を発揮してくれました♪ |
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調整スタンドにセットしたブリーディング治具のこのTバーは何を流用したかわかりますか? 一世を風靡したキックスケーターのハンドル部です(改造で切り取った廃品) コレだと瞬時にハンドルを分離できるので、どんな角度にもなるから気泡を逃がしやすいです。 通常のハンドルに付けたままの場合はレバー取付けボルトを緩めて回転できるようにしておきます。 |
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2) マスターシリンダー(レバー)には表裏両方にブリードネジがありますが、上になる方を使います。 ここのネジはアーレンキーではないです。星型のトルクスです。 工具はトルクスドライバーT-10を使います。 ネジを外したら、ブリードフィッティングをねじ込み、キャッチボトルのホースを差込ます。 この部分をブレーキシステムの一番高いところに位置させるのが基本なのですが・・・。 ボトルはフックでハンドル等に引っ掛けておきます。 |
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3、 キャリパーをフレームから外し、ブレーキパッドを外します。 フルードは攻撃性があり、塗装にかかったのをほっておくと、塗装がボロボロに剥がれます。 パッドに付くと使えなくなり、交換です。手にかかると刺激があります。 事後にクリーナーで拭けばOKなのですが(パッドには効かない、交換)、念を入れて、事前にキャリバーやレバーにはシリコンスプレーを掛けて保護しています。 (そういう意味からも、レバーもフレームから離した方が安心です。このレバー、グリップ付けたままでも外せます。複雑に作ってしまった設計者の良心か?) |
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4) 8mmメガネレンチを使って、キャリパーのピストンを押し戻します。 | |
ピストン内の中央にポストがあるので曲げないように注意! これをかわすのにメガネレンチで押します。 メガネレンチはオフセットがたくさん付いている方がやりやすいです。 上の写真ではスタビレー・コロナ23ダブルエンド・リングスパナ(両めがね深スパナ)の8mmで押してます。 |
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5) キャリパーの注油口のラバーキャップを外す。 注油口のナットには予め、6mmメガネレンチ(stroker )をかませておく(そのつど片口工具をかますのは良くない。メガネをかませたままにしておくのがベストです)。 (同社他機種では7mmだったり8mmだったりします。統一しろてば) 注油口にホースをセットする。 (撮影のためフレームに付けていますが、分離して作業してます) |
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ホースはワイヤーやタイラップでロックすることを薦められてます。 注油口の形状がイマイチで、滑ってホースが外れやすいです。 ZENではオリジナルのストッパーで固定してます。 ホースに通したストッパーをクルクル回していくと注油口をしっかりロックしてくれます。フルードの入ったボトルを手放しでも外れません。 |
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6) 注油口のナットを1/4回転緩めてオープンします。 キャリパーの注油口が各方位で45度になるように、色々回転させて注油します。 ボトルを圧縮して、キャリパーにブレーキ・フルードを注入します。 5秒間圧縮して、そして変形したボトルが元のカタチに戻るまで待つ。 圧縮されたボトルが元に戻る時、キャリパー内のエアーが抜き出されるでしょう。 キャリパーからのホース内のフルードの気泡が出なくなるまで、何度か繰り返す。 継ぎ足しブリーディングの場合は、キャリパーの高さを調整して、キャリパーから戻るフルード水面が、逆さにしたボトル内のフルードに合流するよう、うまくエアを逃がしてから作業します。 |
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7) キャリパーから気泡がまったく出なくなったら、今度はマスタシリンダー側(=レバー側)から排出されるフルードをチェックします。 ボトルをニギニギして、フルードを送り込みます。 最初は大きかった気泡がだんだん小さくなります。 |
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8) ボトルを圧縮している間、レバーを素早く引いて、パチンと戻す動作をすると振動でよく抜けます。 それを気泡が出なくなるまで繰り返します。 |
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9) . 泡抜きをするのに角度を変えます。 マスタシリンダーを回転させ、レバー末端が上向きにしたり、元に戻したりします。 その間もレバーをパチンパチン。 面白いように、再び気泡が出てきます。 それを何度も繰り返して、気泡を根絶させます。 |
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10) 気泡が出なくなったら、ボトルを圧縮したままで、キャリバーの注油口のナットを閉めます。 締め過ぎないように。トルク( 3.95 +/- .5 Nm) それから、ボトルとホースを外します。 キャップを忘れないように。 こういう状況でナットを締めるのでメガネレンチ固定が吉です。 |
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11) 4)の作業同様、キャリパーのピストンを押し戻します。 |
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12) レバー側のホースを外し、フィッティングを外して、ブリードネジを戻します。トルクスドライバーT-10を使います。 |
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13) キャリパーとレバーもフルードが付いていたらふき取り、イソプロピルアルコールでキレイにします。 アルコール系パーツクリーナーでOKです。 ZENではWAKOSのクリーナー。 |
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14) あとはブレーキシステムをフレームに戻せばOKです。 レバーをハンドルに装着します。 4mmアーレンキー使用。 キャリパーにパッドを戻し、フレームに装着します。 5mmアーレンキーを使う。 調整して、ブレーキの効きを確認して、ホース結合部からフルードが漏れてなければ完了です。 |
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使う工具 ・T10トルクスドライバー ・4mmアーレンキー ・5mmアーレンキー ・6mmコンビネーションレンチ ・8mmコンビネーションレンチ ・ゴム手袋 |
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画面に出てこなかったけど、 ブリーディングの脇役 ・注入ボトルホルダー 逆さのボトルのフルード面を保ってくれます。 両手で作業できます。 ・キャリパーホルダー(青い容器=ボトル廃品) キャリパーを角度を保ってホールドしていてくれます。 不意に作業を中断するさい便利。 詳しくは |
ZENではホースカットやブリーディングの通販サービスも行なっています。 どうもエアーが抜け切らなくてスポンジーで困っている方は送ってください。 |