ZENメカ解体新書
2007カンパニョーロの新機軸BBシステム
ウルトラトルク


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 カンパニョーロのBB(ボトムブラケット)システムが2007モデルで、まったく新しいウルトラトルクシステムとなりました。
 シャフトの左右にクランクを付ける従来の構造ではなしに、クランクと一体になった1/2シャフトを左右でつなぎ合わせる構造です。
 シールドベアリングはシャフトの付け根に予めセットされています。
 それを受けるBBカップはBBシェル外側にセットされています。

 これによって剛性が強く、軽く、スムースで、Qファクター(左右ペダル間隔:145.5mm)を狭くできるメリットがあります。

☆構造がよくわかるウルトラトルクシステムのPV
(前置きが長いけど(><))
http://www.campagnolo.com/ultratorquevid.php

☆オリジナル装着マニュアル(pdfファイル)
(日本語は無いけど)
 


 BBカップはレコードグレードのみです。
右カップには脱落防止のスナップリングがはまります。
かなり大きい中空のフィキシングボルトは1本のみ。

 BBシェル外側にBBカップをつけます。
工具の規格はシマノのホローテックUと同じなので共用できます。
(カンパはエライ! こんなとこに独自の規格を持ってこられて、工具が増えるのは困るものです。よくぞシマノに合わせてくれました。)
 ZENではパークのBBT-19C(これも2007新製品)を使ってます。
8/3ラチェットレンチやトルクレンチで使えますから板スパナよりこちらのほうが使いやすいです。
規定トルク35N.m.。
トルクレンチはMAC製
 BBシャフトにはシールドベアリングが予めセットされています。
 右クランク&シャフトから先に挿入します。
 BBカップがすごく出っ張っているように見えますが、クランク裏のフトコロが深いので、トータルでは左右の張り出しは小さいです。
 右BBカップにナップリングをセットして、スナップリングの先でシールドベアリングを固定します。
 もし万が一シャフトのフィキシングボルトが緩んだ場合でも外れないようにです。左にはありません。
 BBシェル幅の誤差はプラスマイナス0.8mmまでOKなのですが、その誤差を吸収するのは、左カップに入るこの波打ったワッシャー1枚!
 左クランク&シャフトを挿入して左右を噛み合せます。
TOP写真を見てください。左右のシャフトの噛みあわせはなかなかすごみのある工作です。精密機械のようです。
でもこれどこでも噛み合ってしまうのですね。左右クランクが1直線になるように注意が必要です。
 噛み合ったら中空のフィキシングボルトで固定します。
 BB中心あたりに位置するボルトを絞めるには10mmサイズで長いヘックスレンチが必要。
  カンパでは短いヘックスレンチをBB中心部まで延長してフィキシングボルトをまわす工具UT-BB110というのがあります。でもこれはちょっとナンセンスな工具です。
 トルクレンチにも使いやすいので、長めのヘックスビット(3/8ドライブ用)を用意した方が絶対にいいです。

 写真ではKTCのBT-3-10 を使っています(KTCの21世紀バージョンというやつです)。全長73mm。根本太さ18.5mm、これならクランク穴に入ります。 

規定トルク42N.m.
規定トルクで絞めてしまえば調整もなにもいりません。
 07ケンタウル・ウルトラトルクの完成!
かなりスムースに廻ってくれます。


 シマノの工具を流用できるというのはかなり評価ポイントが高いです。
レースの現場では特殊な工具は嫌われます。
こういう姿勢はとても大切で、特殊な工具を使うことがオリジナリティだと勘違いしてるメーカーは大いに反省してもらいたいですね。


今回装着したのは
      →ノートン・スポルティーフ
 規定トルクで絞めこんで、ガタなくスムースな回転を得られるのはすばらしいです。
 それにはフレームのBBシェルの幅の精度が大切です。
なにせアジャスト機構がありません。
・イタリアン規格で70mmのプラスマイナス0.8mm
69.2〜70.8mmまでのBBシェルに適合します。
・JISやEnglish規格で68mmのプラスマイナス0.8mm
67.2〜68.8mmまでのBBシェルに適合します。

 でもここの精度を出すのはフレーム屋さんの仕事ですね。

 ところで、ベアリングがBBシェルの外側に位置するタイプが多くなってきました。
大きなベアリングが使える。左右での軸受け幅が広がる。という強度上のメリットがあります。
 しかし、ヘッドパーツに関しては、まったくこの逆をやってるのです。
他にも色々理由はあるでしょうが、ウ〜ン、ポリシーの矛盾を感じずにはいられません。





装着時に使う工具

☆BBカップ用レンチ
パークのBBT-19C

☆フィキシングボルト用10mm (ヘックスレンチ)
KTCのBT-3-10

☆トルクレンチ 
MAC 3/8ドライブ

☆スナップリング用
ロングノーズプライヤー クニペックス
指だけでも可能ですが、BBカップが傷つく可能性を考えると使うのが吉。



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