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二見湾 小笠原諸島は北緯21〜28度とかなり広範囲に散らばる30あまりの島々からなる。普通に行けるのは小笠原丸が通っている父島とその周辺、もしくはそこから船を乗換えさらに50キロ南下した母島とその周辺になる。 父島は周囲約50kmの小笠原諸島最大の島。海底火山の隆起でできた島なので、全体に山がちの地形をしていて、周囲の海岸線は切り立っている。ことに東側は海岸まで下りる車道は一本もない。周辺に南島、兄島、弟島などを配し父島列島をつくっている。 父島でのシ−カヤッキングは島社会の中心の二見湾がベ−スとなる。島の西岸にあるこの湾内は比較的穏やかで、初級者でも無理をしなければＯＫだ。湾と言っても２km×３kmと広く、中に大村海岸、沈船のある境浦、扇浦を含んでいる。湾内でも自然は豊富で、サンゴが発達していてシュノ−ケリングしてきれいな所もある。また漕いでいて泳いでいる海ガメに出合ったこともあるし、湾口でクジラを見られるチャンスもある。 |
| ゴールデンコース 小笠原シーカヤックツーリングのゴールデンコースは二見湾から南下して、南島、ジョンビ−チ、ジニ−ビ−チ（ともに正式名称）ブタ海岸と巡る。 しかし南島周辺は荒れやすく、時によって潮流がとても速く、南島へは行けなかった年もある。南島瀬戸からの強い潮の流れ出しのある時は、渡るにフェリーグライドするコース取りが必要になってくる。ガイドのサポートがあれば初心者でもＯＫなのだが、個人的に行く場合は注意が必要。 もっとも、南島上陸は、東京都認定のガイドが同行していないと禁止されています。 それでも島内には立ち入り禁止区域があり、歩くことが許されているルートも限られています。 |
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| 南島 われらは二見湾の扇浦から漕ぎだした。野羊山の岬をかわし、まっすぐ南島にバウを向けた。沖に出るにつれ、海の色は深い群青色をしてくる。深い、濃い色だがそれでいて暗くない、不思議な色だ。海の色は各地でまったく違った色をしている。その微妙なニュアンスの違いを、写真や文章で表現するのは至難なことだろう。岸に上がったら忘れてしまうような、そんな一期一会の海の色を楽しみに私は海に漕ぎだしている。 南島は褐色のゴツゴツした石灰岩ばかりの南北１キロほどの細長い島。西側のちょうど中央に、カヤックが通れるだけの洞窟がポッカリ口を開けている。これが目当ての扇池の入口だ。ワクワクしながら洞窟をくぐると、エメラルドグリ−ンの海水をたたえたこじんまりした湾に浮かぶ。そこを囲む白砂の海岸は美しすぎて、白日夢の世界にいるよう。カヤックのために創造された風景だ。 |
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鮫池 南島の南側に口を開いた湾、鮫池も見ておこう。ここは名前の通りホワイトチップシャ−クがたくさんいて、アオブダイなどとともに、陸上からも見ることができる。 鮫池の近くに、特徴的な赤い土がある。南方特有の酸化土壌のラテライトで、扇池の真っ白い砂と対照的だ。 扇池と鮫池の間の小高い丘に上ってみると、二つの美しい小さな湾が左右に俯瞰できる。ここで海を渡る風をほほに受けて佇む時間を持ちたい。ここの絶景を脳裏に刻んでおこう。 |
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ジニ−ビーチ 南島周辺から南島瀬戸、ジニ−ビ−チあたりの海の透明度と染まりそうな青さに感激しない人はいない。このあたりは隆起したサンゴ礁の石灰岩による沈水カルスト地形(日本で唯一)で、頂を尖らせた岩の小島がたくさん顔を出している。くだけて言えば、京都、龍安寺の石庭にカクテルのブル−ハワイをブチまけたような風景、そしてそこにカヤックで浮かんでいられるのだ。 南島の南部を漕ぐ場合は潮が速いし、波が不規則に立ち、けっこう荒れやすいので注意しよう。南島瀬戸の潮流は最速で６ノット(時速12キロ弱)くらいになる。潮の状況は必ずチェックしておこう。 南島の対岸にある、奥行きはないがひときわ白い海岸がジニ−ビ−チだ。ほぼ中央にある岩の小島ウラが上陸ポイント。父島本島だが、カヤッカ−だけが独占できる世界だ。いつもここにきてランチタイムにする。食後はビ−チ北部からすぐ上の眺めのいい稜線までのショ−トトレッキングがおススメ。眼下の南島瀬戸、すぐ裏のジョンビ−チから野羊山とパノラマが広がる。ここから南にクジラを見たこともあった。 |
