Bicycle トラブル・リペア・メンテナンス
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シマノ・ラピッドファイヤーのカラ打ち



 革新的な機構のラピッドファイヤー・レバー、時計仕掛けのような複雑な構造です。
まったく動かなくなるトラブルもあります。

 ドロップハンドル用STIでも同じことがおこります。

症状
 シフトレバーを押しても手応えなく、スカっとカラ打ちしてるような感触でまったくチェンジしない。

所見
 内部のツメがカム・ギヤにうまくかかってないためです。

原因
 ・ツメのリターンスプリングの損傷。
 ・ツメやカムギヤの損傷や変形
 ・異物はさまり
 ・ツメ内部のグリスの固着

 この中で最も多い原因は、長い間、使っていなくて、グリスが固着してしまったことでしょう。
 ことに街乗りで使ってるMTBの左レバー(フロントチェンジ)は滅多に使わないので陥りやすいです。

治療
 原因に応じて、スモールパーツ交換か、もしくはオーバーホールで固まったグリスを除去。
 オーバーホールの場合、かなり細かい作業です。ショップによってはアッシー交換にしてしまうところもあるかもしれません。

 もし自分でやる場合は、かなり細かい作業になるので、よほど自信のある人にしかすすめられません。細かいバネやワッシャをなくしてしまったらアウトです。アッシー交換になります。
 
 
 
 
構造説明

 写真はわかりやすい大きめな造りの旧式なプッシュ&プッシュタイプですが、プッシュ&プル方式も基本はいっしょ。
 本来はハンドル下に位置してますが、作業のために、バーの上に逆さの状態です。
 説明での上下は写真上での上下です。
 写真は左レバー(フロントチェンジ用)です。
 
   階層が4層に分かれています。
 一番上のプレートはメインレバーそのものです。
ツメAを持ち、3層目のカムギヤを動かします。

 2層目はリリースレバー直結のプレートです。
径は小さく、内側に隠れて見えません。
カムギヤに噛んでいるツメAを解除させます。

 3層目カムギヤ。これが動いてワイヤーを巻き取ってシフトします。

 4層目は土台のベースです。
ツメBを持ち、動いた3層目カムギヤが戻らないように制御します。
 
 シフト開始
メインレバーで1層目が動き、
ツメAが3層目カムギヤの先端を押して、
2速(センターギヤ)にチェンジする位置まで動かします。
上の写真で見えてたカムギヤ端部は裏側に移動して見えません。
 
 メインレバーから親指を離すと1層目はスプリングで元の位置まで戻ります。
 3層目カムギヤはツメBが引っかかっているので元の位置には戻りません。
2速目の位置です。
 ツメAも新たな位置でカムギヤに食込んでいます。

 

 メインレバーをまた押すと、ツメAは新たな位置からカムギヤを押して、3速目(アウターギヤ)に入ります。
 ツメBがカムギヤに食込んで位置を決めます。
 カムギヤのギヤ間隔や高さは不規則です。
かなり細かく分析してるみたいですね。
 メインレバーから親指を離すと、レバーは元に戻り、カムギヤは一番向こうへ行ったまま。
 2速目に戻すのにリリースレバーを操作するとリリースプレートがツメを浮かせて、カムギヤがバネで戻ります。
ちゃんと2速目にツメが掛かって止まります。
絶妙ですねー。
この写真のカムギヤは2速目の位置です。
 もう一度、リリースレバーを操作するとリリースプレートがツメを浮かせて、カムギヤがバネで戻ります。
 これがスタート位置(インナーギヤ)に戻った位置です。



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