ZENメンテナンス・ルーム
スケッグのメンテナンス
by zen
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スケッグは とても便利な機能があるのですが、メンテナンスを怠ると動かなくなります。メンテナンスは必須です。 トラブルは使用者の不注意がほとんどです。 ちゃんと気を使ってあげればノントラブルですみます。 |
スケッグの構造
まずはスケッグの構造を知ることが大切です。 ・ コクピット近くのコントロールレバー ・ ボトム後方に位置するスケッグ本体 ・ 両者をつなぐ、コントロールケーブル (ケーブルはインナーワイヤーと樹脂製のアウターチューブからなります) |
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コクピット近くのスライダーレバーとワイヤーケーブルで連動していて、出し入れします。埋め込みイモネジで固定されています。 |
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レール付のレバーもあります。 ワイヤーが2本に見えますが、内側のものはデッキに固定されたレールです。 レバーが不正な動きをしないようにする為のガイドです。 ただし、スライダーレバーの交換は難しいです。 |
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2003モデルのショアラインからの新しいシステム。 この部分だけワイヤーをカバーする金属チューブが被っていて、これごとスライドします。 金属チューブとレバーはネジで固定されています。 これならキンクは無し! |
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スライダーレバーは3分割カヤックではコクピット後ろに位置するリアデッキに存在するものもあります。 視界にないので、出し忘れに注意。 写真はスライダーを緩めて、ワイヤー末端を露出したところ。たいていこのくらいの余剰がデッキ内部に入っています。(1ピースタイプでも) |
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スケッグはカヤックのハル(ボトム)の後部に位置し、ハルに埋めこまれたスケッグボックス(スケッグホール)に格納された三角形のフィンです。 | |
スケッグ本体に止まってるインナーワイヤー。 もっとも多いのは、ワイヤー末端を金属のカミツブシで止めて、抜けを防止しています。 スケッグ本体は通常はココまで出ません。 レバー側の止めネジを緩めて、本体を引っ張ると出てきます。 写真はセドナのアクリル樹脂スケッグ。 |
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ノースショアデザインの最近のものは『し字型』の溝に樹脂を流し込んで処理しています。 | |
ワイヤーを外すと、スケッグ本体は支点(左側)を中心に垂直にぶら下がります。 支点シャフトに引っ掛けてあるだけなので、支点溝の延長方向に動かせば、簡単にカヤックから外せます。 |
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スケッグの支点シャフトです。 写真ではワッシャーが片寄ってます。 スケッグ本体はここに引っ掛かっています。 |
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スケッグが収まっているスケッグ・ボックスを後部ハッチ内に見たところ。 その上部へアウターチューブが接続しています。 接着されているものも多いですが、写真のショアラインでは、ネジ止めのストッパー、ゴムパッキン、ウレタンパッキンで構成されています。(分解したところ) |
スケッグ症例集
91年からZENシーカヤックスクールを開校してますが、色々なトラブルがありました。
トラブルNo1 | |
原因 | 出したまま知らずに上陸してしまう。 |
結果 | スケッグが強制的に押しこまれワイヤーがキンク(折れ曲がる)してしまう。 するとスケッグが動かなくなります。 |
症例写真 | |
修理 | 基本的にはインナーワイヤー交換だが、スケッグ側の場合にはスライダー側のワイヤー先端に長さの余裕があればキンク部をカットしてそのままのワイヤーで使えることもあります。 |
予防 | 上陸前に必ずスライダーレバーがどの位置にあるか触って確認するように!! 指差し確認! |
参考 | まれに上陸後カヤックを裏返して洗っている時に、出しているスケッグを上から手で押しこめてキンクさせちゃった人もいます! |
トラブルNo2 | |
原因 | 砂や砂利がスケッグホールに入ってしまい動かない。 その1 スケッグホールにびっしり砂を詰めた人がいました! |
結果 | 無理やり動かすとスライダーレバー側のワイヤーがキンクします。 |
症例写真 | |
修理 | 基本的にはインナーワイヤー交換。 |
予防 | @ なるべくスターンを砂浜で引きずらない。むしろスターンを持ち上げて押して、バウ側ボトムを滑らせるようにする。 A 使用後は必ずスケッグホール内を掃除すること。 B 出艇して海上に浮いたら、必ずスケッグを数回出し入れして砂を落とすようにします。 C スライダーレバーを動かすさい先行しているワイヤーに中指・ 薬指・小指をかぶせて動かし、ワイヤーが持ちあがりそうになったらそれ以上動かさない。 |
トラブルNo3 | |
原因 | 砂や砂利がスケッグホールに入ってしまい動かない。 その2 スケッグホールにびっしり砂を詰めた人がいました! |
結果 | 無理やり出そうとして、アウターチューブの接着がはがれてしまう。 |
症例写真 | レバーホール内側、アウターチューブが外れて湾曲、ワイヤーが見えてる。 |
修理 | アウターチューブ接着。でも通常接着剤で着きにくい材質が多い。FRPで固めてしまうのがいいが、ホットグルーガンが結構使えくっつく。 どちらにしろ、チューブ内部に樹脂が流れこまないように注意! |
予防 | トラブルAと同様。 出にくかったら、無理やリ動かさない。無理は禁句! |
トラブルNo4 | |
原因 | スライダーレバーのケーブル固定イモネジを締め過ぎ。 |
結果 | ネジを切ってしまい、締められず、ケーブル固定が不能になる。 |
症例写真 | 5mmと6mmイモネジを並べたとこ |
修理 | 3通り ・ スライダーレバー交換 ・ ワンサイズ大きいネジのタップで立てる。 (通常はネジ径5mmですが、6mmの物に変更) ・ 別の個所に同サイズのネジをタップで立てる。 (タップを立てる: メネジのねじ山を作ること) |
予防 | レバーはデルリン樹脂なので、オーバートルクで締めてはいけません。ネジを締め付け過ぎないこと。 |
トラブルNo5 | |
原因 | リアハッチへ荷物を入れるさいに、スケッグボックス上へのケーブルを破損させてしまう。 |
結果 | ケーブルが外れたとこから、リアのラゲッジルームに浸水。 これは危険!! |
症例写真 | これはメンテで外した図ですが、このような状態のことです。 |
修理 | そのままツアー続行は危険です。 現場でのケーブル接着は難しいです。 ラゲッジルーム内に浮力体を膨らませて、浸水を少なくします。 ケーブル接着しなおします。 |
予防 | 荷物を入れるさいに、ケーブルの存在を確認すること。 |
トラブルNo6 | |
原因 | スケッグ本体側ワイヤーのカミツブシの外れ |
結果 | 航行中だと、スケッグ本体が垂直に垂れ下がり、何かの拍子に外れ、海中への脱落紛失。 |
症例写真 | メンテでレバー側の止めネジを緩め最も出したところ。 実際のトラブルではこのような状態になります。 |
修理 | スケッグを新しく装着する。 |
予防 | ワイヤーのカミツブシに緩みがないかチェック。 アルミのカミツブシは腐食して壊れます。 |
@ ケーブルカッター: ヨリ線をカットするのにこれでないとバラケます。 A アーレンキー(六角レンチ): 多くは2.5mmですが、自分のカヤックをチェックしてみて下さい。発明したアーレンさんに敬意を表してアーレンキーと呼びましょう。 B プライヤー: カミツブシに C ロングノーズプライヤー: 出てこないスケッグを引っ張りだす時に。 D ロッキングプライヤー: 強力な力でカミツブシたい時に。 | ||
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スケッグ本体に止まってるインナーワイヤー末端を金属のカミツブシで止めて、抜けを防止します。 しっかりとつぶします。 シーカヤックにアルミのカミツブシは不可です。すぐに腐食します。銅かシンチュウの物を使います。 |
樹脂止めの場合、FRP用など完全に固着してしまうのはまずいです。ウレタン系やゴム系など後で外せる接着剤を使います。 でもこの状態だとワイヤーは出っ張っているし、接着剤もはみ出ています。 |
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当て木をクランプで締め付け、平滑化させます。 接着させたくない所には、シリコンかグリスを塗布しておきます。 |
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きれいに平滑化成功! これをしないと、出っ張ったとこに砂がたまりやすくなります。 |
毎回のクリーニング! これが最も大切です。 スケッグを出した状態で水で砂を洗い流します。 写真は旧シリウスのデュラルミン・スケッグ |
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廃品のステンレススポークで作った小石かき出し具。 スケッグホールに挟まった小石は案外除去しにくいけど、これなら楽勝! ZENメンバーには無償で差し上げます。(在庫?がある時ね) |
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